8月12日 唯一のお盆休みを終え、残るは稽古のみとなった新人公演の稽古場にお邪魔した。
二拍子、歩行などお馴染みの練習。休み明けのせいか、反応の鈍い新人たちに横山さんの怒鳴る声。腕組みをしながらじっとそれを見守る名執さん。ぼくらにとって見慣れた風景がそこにはあった。
そして台本稽古。遂に本番が迫ってきたことを、それは示していた。

稽古後、横山さん、名執さんを捕まえ、インタビューを試みた。一体新人公演とは何なのか?思いのほか真面目に答えていただきました。

ヘンゼルとグレーテル!?
白坂(以下白) お疲れ様です。
横山・名執(以下横・名) お疲れ様です。
白 いやあ今日でだいたい新人訓練開始から4ヶ月たったわけですけど。
名 ああ、そんなかあ。
白 最後の1ヶ月を迎えましたね。
横・名 そうだねえ。
白 突然ですけど、二人とも、お元気ですか?
横 休み中38、6℃まで熱上がった。
名 体重が46キロ台まで落ちた(笑)。
白 ふええ(笑)。
横 新人訓練と関係ないだろ(笑)。
名 まあね(笑)。
白 さて、どうですか、ここまでの感想は?
横 意外に早いかな。日々変化するからね。それを追ってると早いというか・・・。
名 「楽しいです」(笑)
白 新人さんは変わりましたか?良くなった点とまだまだな点について伺いたいんですけど。
横 稽古してきた内容はよくなった。でも芝居を作ることはまだわかってない。それがわかったかどうかって新人公演終わってからでないと分からないんじゃないかな。
名 終わって分かる基準は一つだよ。要は公演をやること。役者になるための新人公演だから。成功か否かは役者になってたかどうかなんで。横山が言ってた通り良くなった点はあるけど、役者にはなれてない。
横 役者魂が足りないよね。
白 なるほど。では、その新人さん達に対して、逆にお二人が気を付けていたことってあります?
横 (少し考えて)いっぱいあるけど・・・。アメとムチのバランス(笑)。良いところは認め、ダメなところは99%あるわけだから減らさないといけない。
  ここで飲み物が運ばれる。しばし休憩。
名 ここで飲み物が運ばれるって書けよ(笑)。
白 はい(笑)。じゃ、名執さんは?
名 うーん、稽古場での役者ってデリケートですから、自分をさらけ出してるわけだし。だからこちらもデリカシーを持たないと。
横 ヘンゼルとグレーテルのパンを置いてる気持ちだね。
名 よく分からないけど(笑)。

入場無料って奇妙だよ
白 そういえば今年も新人が台本を書いてオリジナルをやるわけですけど、どうなる、どうなってほしいと思ってますか?
横 今日の台本稽古初日を見た限り、それぞれの持ち味は出せるかな。自分が出せるかどうか気付けるかが問題。本自体はそれを制限するものではないし。早速煮詰まってる人もいるけど(笑)。
名 難しい。新人公演を作品としてどうというのは。
横 新人公演としてはそれは問題じゃないよね。
白 ちょっと対外的な話にしましょうか。あの、演劇倶楽部の新人公演の特徴とはズバリ何でしょう?
横 「新人が作る」。そうしたい。スタッフも役者もやるし。芝居は一回打たないと分からないしね。真面目すぎるかなあ(笑)。青春です、汗です(笑)。
名 過酷だと思うよ。
横 今までの人生を外から突きつけられるわけじゃない。それを自分の中で消化することじゃないかな。
名 責任の取り方。負わなきゃいけないもの多いから。
白 ふーむ。確かに厳しくはありますよね。では、新人公演でお客さんに見てもらい点、ここを一番に!というのを教えてください。
名 ・・・とりあえず役者。
横 そう、役者。役者を見て欲しい。命懸けてる瞬間があるんですよ。それが見せ場でなくても。だからそういうのを。
名 普通に芝居を観るのとは違うと思うんだよ。これは余談だけど、入場無料ってのは奇妙だよ。本来なら芝居はお客さんが払ってくれたお金に見合うものをやろうとするわけじゃない。それなのに何故無料なのか、考えるね。
横 すごく格好良く言えば、お客さん一人一人が掴むものが違う、ということかな。うちのおばあちゃんとか若い役者のやる気とかで観れるって言うし。
名 単純に練習した成果を見せるだけなら客はいれない。でもそこに入ってもらう。芝居は客がいないと成立しない。
横 お客さんの反応がないと成立しないことを知るんだよ。伝わる、伝える。相互作用がないと芝居が出来ない。
名 うーん、新人公演は何に対して見せるんでしょう(笑)?
白 聞かれても(笑)。さあ、何でしょうねえ。
名 ・・・まあ、見せるなんて高飛車なものじゃなく「見ていただく」ということ。
横 それは基本でしょ。
名 でもそれを下手だとかつまんないとかの言い訳にするんじゃなくてね。
最後の一滴まで!
白 なるほど。いやいや貴重なご意見ありがとうございます。それでは最後にですね、新人と、これから観に来ていただけるお客様へのメッセージをお願いします。
横 (しばし考え)難しいなあ(笑)。新人には・・・最後の一滴まで搾り出してください(笑)。お客様には・・・11人の役者っぷりを見届けてほしいな、と。
名 これさ、新人にってのが難しいというか恥ずかしいというか(笑)。・・・あ、新人にはね、言いたくて仕方ないことがあるけど、終わったあとで言う。
横 あるんだ(笑)。あ、そうそう関係ないけど、私達って(例年以上に)言いたいこと我慢しない新人担当だよね(笑)。
白 (笑)。ではお客様には?
名 うーん、サービスしますんで、とにかく過剰なまでに。お腹いっぱいになると思います。
白 どうもありがとうございました。


インタビューをし終えて。
遂に来るところまで来たなあという感じがした。思えば彼ら二人が新人担当に決まったのが昨年末。そしてその新人公演が一月後なのである。全くもって月日が流れるのは早い。ただ、彼ら(もちろん新人を含む)にとってこの4ヶ月がいかに重要であったかは明らかである。インタビューをしてここまで新人を丁寧に指導し、そして新人はされてきたのだなと実感した。
2001年度、早稲田大学演劇倶楽部新人公演。総勢11人の初舞台を、皆様、是非ご覧に来てください!


左:横山優美 
2001年度新人担当。演劇倶楽部14期。
主な出演作 RONNIE ROCKET 「蓼喰フ虫モ好キ好キ」
「紅イ林檎ニ唇寄セテ」



右:名執健太郎
2001年度新人担当補佐。演劇倶楽部14期。
主な出演作 宇宙マナー公演、モコ・ウイルス・モコ公演
ポツドール「身体検査」など多数。


インタビュアー&文 白坂英晃
写真 松浦絵里子



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