伊トウ本式「加速する健康」
5月15日から始まる伊トウ本式「加速する健康」。
主宰であり脚本と演出を担当する伊藤勇剛さんにその抱負を語って頂いた。
事前に覗いた稽古場は役者と主催の間に一種独特の雰囲気が漂っていた。
どうやら今回のポイントはその辺にあるようだ。
どきどきするものを
――えー、それではインタビュウを始めたいと思います。
伊藤(以下伊):よろしくお願いします。
――まず、ユニット立ち上げから今回で実質三回目の公演になるわけですが、
回数を重ねて得たものや、気負いがありましたら伺いたいな、と。
伊:気負いはー、実はあるんですよ。
何に対しての気負いかっていうと、お客さん…に、
より、面白くドキドキするものを見せたい、と。
――ドキドキするものを見せたい?
伊:うん。あのー、結構毎回いろんな、仕掛けを、やっとるんじゃないかと。いわれとるんですけど。
今回はそういうものも入りつつ、でもこう…より見たいところを見せる。
見せる
伊:濃い顔の人がそろってるなら…濃い顔を見たいと思う。
――(笑)
伊:積極的に前を向かせる。もう具体的に前を向く芝居。
みんなが見たい濃い顔を、見せる!
あとはー、寺部さんですか?
伊トウ本式に出る寺部さん、伊トウ本式に活かされる寺部さんを見たい。
まー違った寺部さんを見たい人もいるでしょうから、寺部さん、バンバン出します。
――なるほど。
伊:見たいところを積極的に組んで(注;本の中で)、見せてく。
今回はそれー、を。やってく。
――もうガンガンお客さん重視なかんじですね?
伊:…うんっ。そうです。
――今まではどっちかって言うと仕掛けなりなんなりこう、
(脚本家、演出家としての)伊藤さんのやりたいことが先行してるように思うんですけど、そうではなくて。
伊:うん。そうですね。
濃い人たち
――気になってることを聞いてもいいでしょうか?
伊:どうぞ。
――アントニオ本多さんって…。
伊:プロレスラーですね。
――プロなんですか(笑)?
伊:あ、違った。
――(笑)
伊:えーと、ハートはプロレスラー。うん。
アントニオ君は、アントンは、役者としての筋がいいんですよ。驚愕するくらいに。
今回はアントニオ本多の「演技」を見て欲しい。彼の苦悩の顔を。
――そうですか…。
伊:(すかさず)そして負けてないうちの瀬戸口。
――濃いですねー(笑)
伊:それに負けてない名執君。細い。
――おそらくとなりの写真を見てこの記事を見てる方は…「あー(笑)」と思うと思います(笑)
主役は、
伊:とにかく今回は素材、あ、役者のことなんですけど、
素材は凄くいい、新鮮なものをそろえたつもりなんですよ。
だから、あまり、偏った料理法とか、で、料理しないで素材のよさを活かす。
「えっ!?新鮮なトマトってこんなにおいしいんだ!」
――(笑)
生でも食べられる。
僕がやるのは塩ふったり、砂糖かけたり、チョロチョロってするだけです。
スイカに塩かけて甘くする。その程度のことですよ。
――なるほど…
伊:今回の主役は役者!
――今回の見所もそこに尽きるんですかね?
伊:そうですね。うん。今回は前回のような舞台ではなく具象舞台なんですよ。
(注;前回、「破顔のヨーコとて」の舞台は花道を客席の中に張り巡らして
客と舞台の距離感を無くした思い切った抽象的な舞台であった。)
ですからあまり際立った仕掛けができるわけでもない。
うん。こう、役者対役者、役者対決。…うん。役者と役者のぶつかり合いをー…、
見てください
――最後に何か一言ありましたら。
伊:そうですね。んー…。
とにかく、理屈抜きに、おもしろいんで、どんな人でも、ウェルカム。
二時間楽しんで下さい。待ってます。
――今日は、ありがとうございました。
伊:ありがとうございました。
今回印象に残ったのは主宰が一言一言慎重に
言葉を選びながらインタビューに答えていたことだ。
「言葉」というものへのこだわりが覗えた。
このこだわりと演出家が冷静に「面白い」と言い放つ役者陣。
なるほど、どきどきさせる。
文責:三原太一