企画公演『夜光』インタビュー
稽古場に入るとそこの雰囲気は想像していたものとは違っていた。 良い意味で無理が無い。そんな印象を受けた。しかしその中にも緊張感があり、それぞれがこだわりを持っている。これは武内博一氏の、彼らしさがとても出ている稽古場であるように感じた。
稽古の休憩中に時間をもらい、この『夜光』についてインタビューをさせてもらった。
小島 よろしくお願いします。
武内 よろしくお願いします。
小島 今回武内さんが主宰、作演をなさるのは二度目ですが、それは企画をする立場からはどう変わっていますか?
武内 企画をする立場からは、まあ、企画をするって言う点では前回に比べて追い立てられるような、これやってこれやってみたいな、先の見えない感じがなかったから次にやることが若干は見えるのかなあ。小屋入りまでの流れとか。
小島 段取りが。
武内 そう。段取りが。
小島 では演出的には?
武内 ああ演出的にね。どうだろう。ある意味、驚いた部分があるんだろうね。
小島 驚いたんですか?
武内 演出的には。なんか一年間空くとねえ、現場になじむのに時間がかかるよね。ていうかテンポ・・・
小島 現場のテンポですか。
武内 うんだから、まきまきで作業しないといけないじゃない。それがマイペース気味になっちゃう。まあそこは演出補佐の数馬君がいたから、なんとか。
小島 ああ、数馬さんいっぱい現場入ってますもんね。
武内 そうそうそう。一応慣れてるじゃん。だから補佐してくれてっていうか。だからすごい助かったね。
小島 演出のやり方を変えたとかはありますか?
武内 あ〜台本自体がね、全然前回と違うから。前回はね、漠然とした、自分の世界観みたいなものをぶちこんだんだけど、今回は割とまじめに普通に作ったっていうか・・・。普通のお話だから、割と感情優先…感情の流れとか、だから目に見えないところの演出が見えたんじゃないかな。
小島 それはリアルってことですか?日常っていうか。
武内 ああ〜普通ってところが?
小島 はい。
武内 そう言う意味でもないのかな。いわゆる物語っぽい物語?普通にみんなが読んだり見たりしている物語。日常ではあるけど日常じゃない感じ。あ、ほらマンガ好きでしょ?
小島 はい…好きです(笑)
武内 そう言う感じ。そういう物語性。
小島 あ、だからかけはなれたリアリティ−…
武内 うんそれもあるけど、それだけじゃない。もちろん物語的なところもあるけど、主役の設定が現実から離れたって意味で。まあそれは実際芝居を見てもらってわかることなんだけど。
小島 前回と違って今回17期がいるじゃないですか。後輩がいるってことは何かちがってきますか?
武内 今回先輩が一人もいなくて逆に後輩がいるじゃない。やっぱ違う意味でプレッシャーがあるよね。先輩としてって言うのもあるし。
小島 教えるってことでですか?
武内 ああそれは無いかな。やっぱパッと言ってすぐ分かるって部分が少ないし。やっぱり僕はすごくひとの評価とか気にしちゃうほうだから、どう思われてるのか気にしたりもする。16期は知ってるからいいんだけど。
小島 17期との距離は、縮まりました?
武内 最初のころよりはね。僕は会話をするの得意じゃないから…うーんでもみんな演出の意図も汲んでくれてるしいいんじゃないかな。
小島 雰囲気とかも楽しげでいいですよね。前回もこんな感じだったんですか?
武内 や、全然違うよ。前回は結構厳しかった。なんか、ちゃんとやってください、とか言ったり。でも今回は本の雰囲気もあるしほのぼのしたかんじで。
小島 余裕が出たのもありますか?
武内 それもあるかもしれないね
小島 この芝居のみどころを教えていただけますか?
武内 やっぱりお話。前回は新人公演ストーリーっぽいストーリーは無かったんだけど、今回はお話を重視したつもりです。そう言った意味では新人公演『トケナイ』に近づいているのかなあ。やっぱ一年間考えてちゃんとした物語をやりたいなあって思ったんですよ。だから物語の展開もちゃんと見て欲しいし、あと役もね、すっごい際立ったキャラは少しだけで、役者の素の部分を結構入れた感じだね。
小島 けっこう宛書なんですか?
武内 そう。だからね、話も役とマッチするように作ったつもりなんで自然に楽しみに見て欲しい。お話…っていうかお芝居を。で、おもしろかったねって言ってもらえたらいいんじゃないかな。だから今回重たすぎるメッセージとか入ってないし。哲学とか。
小島 前回はあったんですか?
武内 うん重かったね〜。なんかいろいろいれちゃって。でもやっぱり考えて見たらお話の面白いのがやりたいなあと。
小島 誰もが楽しめる感じですか?
武内 誰もがじゃないね。一般受けする映画とかじゃなくて、もっとミニシアターみたいな。ちょっと実験的なものも交 えつつ。
小島 実験って言うのは新しいことですか?
武内 というより、自分の中での実験かな。いままでやってなかったことをやったりとか。大勢を一つのシーンで出し たりね。あと舞台装置も意識したし。前回全然上手く使えなかったなあと思ったんで、ちょっと意識したね。
小島 では最後にお客さんに一言お願いします。
武内 お芝居を見て、押し付けがましくなく、話も面白いし、役者も雰囲気に合ってるし、うん…面白く思ってもらえばなあと思うよ。あ、泣いてもらえたら嬉しいな。
小島 あ、感動的な・・
武内 そういうの意識したつもりではいますね。狙いすぎず、狙わな過ぎず・・・まあ一度足をお運びいただければと。小島 では面白いのと感動とでお得な感じですか?
武内 というより、これを見て、感動したでもむかついたでも楽しかったでもなんでもいいんで、お客さんが何かを感じてくれればなあって思いますね。ただ面白かったっていうのはやなんで。自然に心を動かせたら。物語自体が何かしらの主張になってたらなあと思います。まあ、くりかえすようですが、ぜひ見にきてください!と。そういうところですね。
武内氏はこの『夜光』で二度目の主宰、作演になる。しかしその中で前回の経験に甘んじることなく敢えて新しいものを模索して言っている姿は印象的だった。その姿は日常で見せる武内氏の姿とはまた違い、次は何をするのかという期待を持ってしまう。前回の公演とは一味違う、『夜光』に盛り込まれた様々な要素を楽しみながら、またみることで何かを感じることができるのではないだろうか。
武内博一 (右写真)
演劇倶楽部16期
2001年度新人公演「トケナイ」作・出演
企画公演「tragic comic」作・演出
インタビュアー 小島彩乃