「ヴィタルアルサーの冒険には、水よりも欠かせない時計があった。」
 

2003年7月演劇倶楽部企画公演
「ヴィタルアルサーの冒険には、水よりも欠かせない時計があった。」

タイトルが長いだけではない。何かと大型な企画公演なのだ。主宰はこれまで役者や小道具として、いくつかの企画公演に参加している、17期・浅井紀洋。彼の口から飛び出してくる今回の公演の秘密とは!?


>>アングラポップ?69年フィクション?
宮嶋(以下、宮):今回はどんな芝居になりそうですか?
浅井(以下、浅):初めは雰囲気がアングラながらも大衆に受け入れやすいアングラポップをやろうとしたんですが…違ってきました。でも独特な世界なので、その世界観に入り込んで観れたら面白い。かも。
宮:今回の作品は70年安保闘争を扱っているという事なんですが、なぜ企画公演初の作・演出で史実をやろうと思ったのですか? 
浅:史実が好きだというよりも…まずは当時の時代背景みたいなものが好きだったんですよね。人が集えば何だってやる時代だったと思うんですね。当時盛り上がっていたのが団塊の世代っていって、今の50〜60代の人たちなんですけど…その世代の人と今って全然違うじゃないですか。そこを両方見せた芝居がしたかったんですよ。僕らの間では「祭り」って呼び方をしてるんですけど…、「祭り」ってみんながブァーって盛り上がったりするじゃないですか。時代自体がそういう時代だったんだなあーと。すると「今」は「祭りのあと」にあたるじゃないですか。…そういう表現がしたかったんですけど、、、。何かずれちゃったよね、野崎?(隣にいた役者、野崎浩司にむかって)
野崎(以下、野):現代人がやってるわけだし。
浅:最初は「どこまで史実に忠実にできるか!?」みたいな崇高な理想を掲げてがんばろうと思ったんですけど…。今は69年を題材にしたフィクションって割り切って。実際は安田講堂の上のヘルメットかぶった人たちでも、色々と派閥があるんですけど、それを語り始めるとストーリーにならないのでひとつの仲間たちみたいにしたり。


>>役者?スタッフ?「構成・演出」??
宮:浅井君たち17期が新人公演を終えてから今回で企画公演5本目になるんですけど、演クラの他の公演とか意識したりしますか?
浅:いやっ、あまり意識はしないですねー。
宮:最近、史実ものがないからやってやろうというわけでは・・・
浅:ないですね。自分が表現したかったのがこーいうことだった・・・ていう。他の公演にも僕も参加はしてるんですけど、今回はこのメンバーでの「ヴィタルアルサー」のことしか考えていないですね。
宮:このメンバーという言葉がありましたけど、今回9人の役者陣はどうですか?
浅:もともと9人の役者を選んだ基準がほんとにおもしろいと思う9人、一緒にやりたい9人にお願いして出てもらったんですよ。そういう点で選んだので期待はしていたんですけど…それ以上のものですね!今、出してくるのは。
宮:じゃあそこは儲けましたね!?
浅:逆にみんな個性が強くて、僕としては・・・がんばんなきゃなーっていう(笑)

宮:スタッフワークはどうですか?史実だと美術とか小道具とか大変そうですけど。
浅:そうですねー、ネタバレになるんであんまり言いたくないんですけど…。史実を扱っていると言いつつも特殊な世界を扱っているので、まあ・・・それ向きの美術や小道具になってます。とだけ。

宮:今度は役者の二人に・・・。浅井君はどうですか?
野:あまり台本ができなかったとか。
小島(同じく役者。以下、小)そう!それそれそれ!!
浅:やめてよ、そんなの。なんか・・・。
野:いや、逆にそれが良かったと・・・。
小:じっくり作れたし、エチュードとかもいっぱいやったし。
浅:「お前は作・演出じゃなくて、構成・演出だ」って言われましたよ。(笑)
小:ちゃんと「作」だよ。
浅:あぁ、ありがとうっ。(笑)

>>好きな事、言います!
浅:今回はほんと時間が足りなくて、「いや〜ちょっともっとがんばんなきゃな」っていう課題はあるんですけど・・・。構成員には誇りを持っています。キャスト・スタッフ含め。今回狙ったのが「トータル・エンターテイメント」。で、芝居ってともすれば暗転、明転してからカーテンコールまでって見られ勝ちじゃないですか。どらま館にはいってからは「特殊な状況」っていうのをお客さんには体感してもらいたいし。宣伝美術とかも・・・僕らはその世界を創出する集団なんだからただ宣伝するだけじゃなくて、僕らなりのアプローチを、と。もう好きな事言っちゃっていいですか!?
宮:・・・・どうぞ。
浅:もともと芝居で表現するのはなぜかって考えたんですよ。今回、一枚の写真ってのが大筋のストーリーと密接な関係にありまして・・・。写真一枚は区切られた空間でもそこには無限の世界が広がっている・・・という受け止め方をしてまして。ストーリーの中にも出てくるんですが・・・アポロ11号の月面着陸がウソだったんじゃないかという話をしてるんですよ。・・・本当は嘘じゃないと信じているんですけど。で、その写真がもし捏造だったとすると、ひとつの世界を捏造したことになるじゃないかって、そういう事を考えてて。それを演劇で表現したい。造られた世界のひろがりとか写真への収束とかを舞台で表現したいんですけど。とか言うと、それっぽいんですけど、表現し切れてない・・・かも。・・・理想は高いです!!
宮:なるほど。

>>今後?
宮:今回やってみて、今後何か考えたりしてますか?
浅:今回がまだ終わってないんで、とりあえずこの公演を。もう今回、芝居以外のこと何もしてないんですよ、ここ一ヶ月くらい。全てこれに懸けてるんで・・・。
野:風呂にも入ってない。
浅:ははは。
宮:入って!!(笑)
浅:だから全てヴィタルアルサーにつぎこんで・・・。それから今後を考えます。
宮:お客さんにメッセージは?
浅:観に来てくださーい。
宮、小:普通だ・・・。

浅井君はよくしゃべった。それだけ今回の作品への思い入れが強いという事なのだろう。インタビューを終えても、この長いタイトルの公演の内容がなかなかわからない。がしかし、実を言うと前評判はなかなかいい。気になるキィワードの数々を体感すべく、どらま館へぜひ。


文責・宮嶋美子