過激な淑女インタビュー 
『過激な淑女』小屋入り1週間前の稽古場におじゃました。外に出ていた役者も戻っ
てきて今日初めて全員が揃った稽古場はとても勢いがあった。そんな今回の企画の主
宰、作、演出の川嶋はづきさんにお話を伺った。

松谷(以下松)  よろしくお願いします。
川嶋(以下川  )よろしくお願いします。
松  今回の芝居は『過激な淑女』というタイトルなのに、男だけの芝居ですよね?
川  そうですね。やっぱ男芝居をやりたいっていうのはありましたね。
松  なんで男だけの芝居を?
川  いや、なんか、楽しそうだからってそれだけ。
松  ああ…そうなんですか。一回目の作演『茄子と豚』のインタビューの時に「自
分には一つやりたい芝居の構想があって、」みたいなことを言われていましたがそれ
が今回の?
川  そうですね、これですね。
松  じゃあずっと前からやりたかった?
川  ずっと、『なす豚』の前からやりたかった。

松  今回の芝居のコンセプトは?
川  え〜と、普通芝居って、男も女も出てる芝居だと、なんとなく置いていかれる
人が女の人じゃないですか。あの、置いていかれる人って言うか、置いていかれる人
と行く人に分かれてるとしますよね。そうすると、置いていかれるのは女の人なんで
すよ。

松  置いていかれるっていうのはどういう意味なんですか?
川  う〜ん、もしも別れのシーンで男と女なら辛くないんですよ。なんか自己陶酔
に入ってるっていうか。もしも別れのシーンで部屋に置いていかれる人が女の人だっ
たら、その女の人は自分の中で「仕方ないな」って思う部分ってあるんですよ、別れ
の時に。

松  置いていかれるのが男なら?
川  いや、ちょっと待ってね。まだ続きがあって、もしそれが同性同士なら、自分
が男であるとか女であるとか、そういうことを理由に自分が置いていかれるという事
実を、そういうこと(自分が異性であるということ)のせいにできないじゃないです
か。

松  ああ、そういうこと。
川  それと連動して、今回の芝居では、ある少年が居てその少年にいつもくっつい
てる親友がいるんだけど、少年はその親友の事を腹の中では見下してる。音楽をモ
チーフにしてるんだけど、音楽の才能が、実は少年よりも、その少年が馬鹿にしてた
親友のほうがあった。なのに少年自身は自分が一番だと思ってる、実はクラスの中で
その少年はみんなに馬鹿にされいるのに。まあ、こんな結末になるんですけど。

松  はあ。
川  これがむしろ音楽の才能がないのが男と女の間での話なら、女の人が音楽の才
能がなくて夢を諦める時に家庭の事情とか結婚して子供が生まれたからとか、そんな
ことのせいにしようと思えばできるんですよ。でも男が第一線を退く時に、しかも自
分より才能がないと思って馬鹿にしてたやつに負けて第一線を退く時に、どういう風
な気持ちなのかとか・・・、そのへん。本当の悲劇を書きたかった。

松  本当の悲劇、ですか?
川  本当の悲劇っていうのは、例えば失恋した時に『nonno』とか見て立ち直
ろうとしても無理なんですよ。そんな一般的なやり方で立ち直れないっていうか。芝
居で悲しいシーンを悲しそうに演じるじゃないですか。でも悲しがることは悲劇では
ない、むしろ悲しがることを茶化そうとするほうが悲劇である訳なんですよ。う〜
ん、上手くいえない。

松  ああ、だから本当の悲劇を表そうとした時に、ホラーコントというかたちが一
番の表現方法だったんですか。
川  べつに舞台上で友達が死んだっていう設定にしても本当は死んでないんだから
それはうそってことでしょ。そんな事でさ、泣くより、他の表し方があると思った。
泣くとか、そんなことは見せたくない。


松  男ばかりの稽古場はどうですか?
川  動物園のようですね。
松  動物園ですか(笑)
川  動物がいっぱい。動物園のような騒ぎだよ。

松  男だけの稽古場だからこそ気付いたこととか、感じたことってありますか?
川  あんまり人の話を聞かないね。
松  へ?男が、ですか?
川  う〜ん、いや、男が聞かないって言うか、過激な人達が。
松  ああ、かなり濃い方ばかり集まっているような・・・。
川  うるさ過ぎて指示が通らないこととか。
松  (笑)
川  ぶっちゃけね、好きな男に囲まれたかった。だからそれを集めただけ。

松  『過激な淑女』というタイトルの意味は?
川  タイトルの意味はね〜、私、YMOがすきでして、YMOの曲の中に『過激な淑女』
というのがあるんですよ。まあいろんな曲を出してるわけなんですよ。例えば『中国
女』って言う曲とかは、映画監督のゴダールって言う人が『中国女』って言う映画を
撮っていて、それに捧ぐオマージュ的なものとしてYMOは『中国女』って言う曲を
作ったんですけど、それと似たようなもんなんですよ。

松  YMOに捧ぐオマージュ的なものですか。
川  ああ〜、私ちっとも立派なこと言ってないな〜。
松  あの、いや、そんなことは・・・・。
川  あの、う〜ん・・(しばらく沈黙)。そんだけですね、はは。  

松  はづきさんの台本が難しいって話をちらほらと聞くんですが。
川  難しくなんかないよ。難しく考えるから難しくなるだけだよ。役者にはただ騒
ぐだけじゃなくってちゃんと意図を汲み取ってやってくれとは言ってますけど。


松  今回の芝居で一番伝えたいことは?
川  ウソ泣きをやめろ。
松  ウソ泣きをやめろ?
川  ウソをつくのはやめて下さい。全編通してそんな感じで。
松  今回の見所は?
川  全部です。
松  ダンスもあるんですね。
川  そうだね。サルサのエピソードが出てくるんですけど、まあ、サルサを踊ろう
かな、とね。

松  今後も作演はやっていく予定ですか?
川  う〜ん、あんまり先のことは考えてない。作演としてとか、そんなかんじよ
り、自分のやりたいことをやってるだけなんで。作演として自分がどのレベルに達し
たかとか、そういうことは分かりません。でも確実にやりたいことはしっかり出来る
ようになってると思います。

松  では、最後にお客さんへのメッセージを
川  楽しいですよ。絶対、楽しいですよ!見に来てください。肩を楽に、リラック
スして見て下さい。


小屋入り2週間前、1週間前、と、過激な淑女の稽古場はますます面白くなっていく。アップでテンションが上がりすぎて男8人が狭い練習室を飛び回り演出さんの声が通らない光景は確かに『過激な淑女』にふさわしい。もちろん、そのくらいのテンションの高さを保ち続けたままの稽古場は並の集中力ではもつはずがない。少々煮詰まっているシーンも見受けられたが、個性豊かな男8人が作り出す過激な淑女は大いに期待できる舞台になりそうだ。‘はづきWorld’はまだまだ健在である!! 

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