はらぺこペンギン『熟す女』インタビュー
今度が旗揚げ公演のえんくら新ユニット"はらぺこペンギン"。
「メールアドレスにもなってるんで、どうせ略すなら"ぺこぺん"て略してください」
と、白坂氏の希望なので、ぺこぺんと呼ぶことにする。
ぺこぺん稽古場にお邪魔すると、本番間近の緊張感のある、空気。
ラストシーンの詰めに入っているようだ。
いい顔、の役者が多い。
"マイライフ"、"ポップコーン"、"ジョーカージョーカー"ときて、白坂氏の作・演出の芝居は今回の"熟す女"で4回目になる。
夏ごろから、話し方や顔つきが変わってきたような気がするのは、旗揚げの決意からか。
なんか、そこんところを、突っ込んで聞いてみたいと、思う。
○「変わった」。
・ 台本を書き直したらしい、という話を以前聞いたんですが。
白坂「ああー、だいぶ前の話ですね。夏ごろ書いてたものを、ぜんぶやめて」
・ どういう変え方をしたんですか。
白坂「構想自体は変わってないんだけど全然違うオハナシになってる。テーマみたいなものは・・・・、結構近い。登場人物の何人かはそのままだけど、全然話は変わったかな。
・ ふーんそうなの
白坂「最初はもっと力押しの芝居だった。台本に、すごいねえ今でも多いんだけど、!(ビックリマーク)しかないみたいな。(笑)
・ ははは(笑)
白坂「台詞(せりふ)に"うおー"っていうのがすごい多い本だったんです。その、6月7月あたりに書いてたものは」
三原「それじゃ(自分たちの)新人公演から進歩が無い」
白坂「書いてる最中に、これじゃやる意味なしだな、と思って」
・三原君から見た白坂君はどうなってますか。ポップコーンこそ出てないものの付き合い長いじゃないですか。新人公演からもう3年目になりますが。
三原「いや、変わりましたよ随分。まとも、というか」
・ まとも(笑)
白坂「(笑)」
三原「多分ブラジルに出て・・・、役者で外部に出たのがすごい大きかったんじゃないかと。"役者"で出て、それなりに注目されて。かなり変わった。それがたぶん演出にも」
・ なるほど
三原「脚本が最初に上がってきたときに感じたんですけど。ああ、なんか違うなって。質・・・?質が変わってきたかな、と、思います」
○じっくり考えた末の、「これが、やりたい」。
・ 前回のジョーカージョーカーから1年空いて、その間客演やら新人担当やらいろいろあって、どうかわるのかな、と。白坂君の今までの公演それぞれカラーが違ってるから。白坂君らしさってのはあるんだけど、まだ、カラーっていうのは見えないから、それが劇団になったことでどうなるのかな、と。なんか意識的に「これをやるぞ!」みたいなものは?
白坂「いや、分かりやすいと思うけどね。これがやりたいんだこの人は、ていうの。どうだろう、人によって受け取り方が違うから、まだわかんないって人もいるだろうし・・・。いやでもね、だいぶ考える時間はあったから。自分がどういう芝居をやりたいのか、劇団を作りながら考えられたっていうのが、大きいかと。なんか一人で考えてるとあれもやりたいこれもやりたいってなって、結局なにがやりたいんだみたいなさあ。でも劇団を作って、劇団員がいて、って状態になるとじゃあ自分がやりたいことはなんなんだ、って真剣に考えなきゃいけない時間が出てくる。その時間が、大きかった。
・ なるほどね。
白坂「企画公演の主宰とユニット作る人って、そこに差がでてくるのかな、と僕の場合、それはすごく、感じた」
・ 劇団員の萬代さんや三原君がいて。
白坂「そうねえ、まあ、いたっていうのも大きいし、その環境のおかげで、決めなきゃいけないっていう覚悟ができた。覚悟がなきゃ考える時間は取れないんじゃないですかね」
・ うんうん
白坂「できるひとはできるんだけどね、俺の場合は、できない(笑)。そういう環境に自分をおかないと絶対、出来ない」
・ 環境ねえ。重要ですね、自分をその環境に置くっていう選択こそが。
白坂「今までは何がやりたいかわからないでやってるもの、今回は分かったかどうかは別にして、考えた結果のもの、ていう、違い」
三原「感じる感じる。今回は白坂の考えが見通せないんですよ。今までは大体底が見えたのに」
白坂「これだろこれだろ、って」
三原「そうそう、誰に何を言ってても、スタッフさんと話をしててもまあ、こうなんでしょ、こうなんでしょって言えたんだけど、それが、ない。役者としては苦労しますけど、劇団員としては安心します。やっぱり主宰は分からない部分て必要じゃないですか」
○今回の、この芝居
・ 上手い役者さん多いですよね、今回。
三原「達者な役者さん、というか、自分のを持ってていろんなことが出来る役者さんが多いんですよ。もしくは自分で武器を持ってる役者さんが多いんですよ。」
白坂「今回結構やりたいなと思う人とやれてるから」
三原「今回なんで"熟す女"ってのを書こうと思ったの?」
・ 必然的に女性が主役になりますね。
白坂「女の子を主役にするってのは決めてたの、前から。なんだかんだいって俺の書く芝居は男芝居ではある。でもどうしても中心には女の子を据えたいな、と思ってて。女の子っぽい芝居だな、と思わせて実は男芝居だけどねって、逆に」
小林「今回の見所は?」
白坂「見所か・・・、難しい質問だな」
三原「俺も聞きたい」
小林「お客さんに、こう、ここを見てっていう・・」
三原「役者個々も面白いんですけど、見所って言うと・・・また違うのかなという気がする。"役者を見て"っていう芝居ではない」
白坂「個々人の勝負に見えてそうではないから」
・ むしろ個よりも全体を生かしていく
三原「関係性芝居」
白坂「基本に忠実にやってるつもりではある」
三原「芝居の基本は相手を見る。だから僕はコンタクトを買いました」
白坂「生まれて初めてコンタクト」
・ 白坂君自身は台詞は覚えたんですか?
白坂「僕は入ってますよ。間違えますけど」
・ あれ?
三原「今回台詞覚え全員早いですよ。異常に早いんです。もらった次の次の日くらいには三分の一くらいの人が覚えてきますね」
小林「役者的に飲み込みやすい台詞なんですか?」
白坂「そんなこと無い。結構入り組んでる」
三原「みんな必死で覚えようとしている」
白坂「ちょっとね、いろいろ細かいところがあって、ちゃんと覚えてないと出来ないんだよね」
・ 言い回し?
白坂「言い回しじゃない。掛け合い、掛け合いとかで。あのね、なんだかんだいって一幕芝居じゃないから。うちのやってる芝居は結構、転換したりする芝居だから。その短いシーン、短い会話の中でいろいろ見せなきゃいけない。そうなると一言一言で変わるんですよ、いろいろ。そこが抜け落ちてるのとちゃんと入ってるのとで、全然見え方が違うので。本当、一字一句覚えてないと、崩れる」
○目標は、どかんと。
小林「目下の目標など、お聞かせください」
白坂「目下の・・・、目標・・・」
三原「武道館です」
白坂「そう武道館です」
・ええー!(笑)
三原「うちら武道館公演が目標なんで」
白坂「史上初、武道館で演劇をやる団体になる」
小林「ああ・・、武道館で演劇やったことって無いんですか」
三原「ないんですよ。あそこ演劇に向かないんですよ」
・ あそこは武道する館ですからね、本来。
白坂「ワイヤーとかたくさん吊れますよ」
・ 爆発させたりとかしたいね(笑)。
白坂「キャパが爆発する(笑)」
三原「一億稼げれば3日くらいのツアーが組めるかな」
白坂「やりたいですねえ、一日でいいですけど」
・ なんだっけ、ええと・・・・のりうち?
三原「そう、のりうち、素舞台で」
・ のりうち、素舞台、武道館。すげえ(笑)
三原「ちょっとスケールでかくないですか」
・ いいですねえ。いや、ほんと、いいお話がたくさん聞けました。公演楽しみにしてます。がんばってください。
白坂「ご期待に添えられるよう、がんばります」
・ 長い時間、ありがとうございました。
長い時間のインタビューの中で他にもたくさん面白い話が聞けた。それぞれの役者の魅力だとか、演出助手の手塚さんの見事な働きっぷりだとか。スペースの都合で書けないのが非常に残念でならない。
ぺこぺんの公演は今後も何本も打たれるだろう、しかし旗揚げ公演は一回しかない。
「あたし、ぺこぺん、旗揚げから見てるんだ」
これから彼らがどうなるかじっくり見守るつもりで、旗揚げに立ち会ってみるのはいかがでしょうか。
白坂英晃
演劇倶楽部15期
過去の作・演出作品は
2000年度新人公演「マイライフ」
企画公演「ポップコーン」、
「ジョーカー・ジョーカー」。
主な出演履歴は
宇宙マナー「クレオパトラムース」
ブラジル「白い薔薇/眩しすぎて」。
2002年度新人担当三原太一
演劇倶楽部15期。
「ジョーカー・ジョーカー」、
サムライましんがん「四人妻」、
水性音楽「天才ノ森」「ノーヤングガーデン」
「小さくなあれ、僕」「濃縮ナショナルキッド」
などに出演。